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イオンフィナンシャルサービス、2025年2月期決算──カード会員数がついに1,000万人の大台を突破
決算ハイライト:営業収益は5,332億円、増収増益を達成
イオンフィナンシャルサービス(以下、AFS)が2025年4月10日に発表した2025年2月期連結決算では、営業収益5,332億62百万円(前期比9.8%増)、営業利益614億85百万円(同22.8%増)、経常利益625億54百万円(同22.2%増)と2期ぶりの増収増益となりました。国内外で決済ニーズに応える商品・サービスを拡充し、高利回り債権中心の営業債権残高を伸ばしたことが主因です。特別損失としてオフライン不正利用費用や連結子会社の減損を計上したものの、収益力の底上げが光りました。
連結総資産は7兆7,603億円(前期比11.7%増)へ拡大し、金融事業としてのスケールが一段と大きくなりました。自己資本比率は6.0%とやや低下したものの、利回り改善による収益性向上が財務の健全性を支えています。
国内カード会員が1,000万人を突破、現在は2,616万人へ
AFSが決算補足資料で初めて開示した「国内カード会員数」は2025年2月期末に2,616万人(前年比32万人増)となり、稼働会員数(1年に1回以上利用)は1,613万人でした。単位は「万人」表示であり、カード会員の実数はすでに1,000万人の大台を大きく超えています。国内有効ID数は3,615万人、グループ全体の有効ID数は5,572万人へ到達しました。
- カード有効会員数(国内):2,616万人
- カード稼働会員数(国内):1,613万人
- 国内有効ID数:3,615万人
- グループ連結有効ID数:5,572万人
2000年代半ばに年会費無料・提携カード戦略で急拡大したイオンカードは、20年以上を経て日本のキャッシュレス決済を支えるメガプレイヤーとなりました。稼働率は66.8%と安定的に推移しており、単なる会員数の拡大にとどまらず、利用頻度を着実に押し上げています。
躍進を支えたDX施策:「iAEON」「AEON Pay」の拡大
1,000万人突破の背景には、2021年以降に本格展開されたグループ横断アプリ「iAEON」とコード決済「AEON Pay」の成長があります。アプリダウンロード数は2025年12月時点で2,000万、電子レシート発行枚数は1,500万枚に達し、ポイント・クーポン・ラウンジ予約など日常接点のデジタル化が会員基盤を広げました。さらに、ローソンやすかいらーく、NEXCO東日本など大手加盟店でのAEON Pay導入を加速し、生活領域での利用シーンを拡張しています。
こうしたDX投資は当初コスト負担となりましたが、アプリ経由の決済データ分析によりプロモーション効率が向上し、販促費の抑制と利用単価の増加という形で利益貢献を始めています。
競合比較:メガバンク系カードを上回る伸び率
同業他社のKDDI系クレジットカード「au PAY カード」は2024年12月に会員数1,000万人を突破したばかりで、AFSの国内カード会員2,616万人は約2.6倍に相当します。他メガバンク系カード会社と比較しても、地方都市に強いイオングループの店舗ネットワークとポイント経済圏を背景に、会員獲得ペース・利用頻度ともに高い水準を維持しています。
- AFS:カード会員2,616万人(2025/2)
- KDDI フィナンシャル:カード会員1,000万人(2024/12)
- SMBCグループ系大手:カード会員約1,800万人(公表値)
実店舗とオンラインの両輪で顧客接点を持つ点が、EC偏重の競合との差別化要因になっています。
課題と展望:不正利用対策と海外展開がカギ
今回の決算では、オフライン取引における不正利用損失として約99億円を特別損失に計上しました。会員数拡大に比例して不正アクセスリスクも高まるため、生成AIによるフィッシング対策や生体認証などセキュリティ投資が喫緊の課題です。
海外ではASEAN各国でデジタルクレジットカードを展開し、グループ有効ID数5,572万人の約35%を海外で稼ぎ出しています。収益源の地理的分散を進めつつ、為替変動・与信管理の高度化が求められます。次期中期経営計画では「2030年までにグローバル有効ID数7,000万人」を掲げ、海外比率40%を目標に掲げています。
カード会員1,000万人突破は通過点に過ぎません。リアルとデジタルをシームレスにつなぐビジネスモデルを磨き、国内外で持続的な成長を実現できるか――AFSの次の一手に注目が集まります。
