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バーガーキング×イオンモール――出店加速の理由
バーガーキングを運営するビーケージャパンホールディングス(BKJH)は、2028年までに国内600店舗体制を掲げており、直近1年は大型商業施設への集中出店を加速させています。中でも全国186カ所のイオンモールは、①年間来館者数の多さ、②ファミリー・若年層の高比率、③フードコート区画の柔軟なレイアウトという三つの利点がそろう“理想の立地”。BKJHはこのシナジーを活用し、店舗網を一気に拡大する「モール集中戦略」を鮮明に打ち出しました。グルメWatch(2025年2月25日)によると、関西エリア60店舗突破と同時に「2028年600店舗達成」を明言しており、イオンモールへの出店はその“近道”と位置づけられています。
同戦略は既存店の売上分析から得られた「購買頻度の高い買い物導線・駐車場動線上にブランド露出を増やすことでテイクアウト比率が上がる」というデータに基づくもの。モールでの買い回りとBK定番のモバイルオーダー/デリバリーを組み合わせることで顧客体験を底上げする狙いです。
関西で2店舗同時オープン:イオン貝塚店&イオンモール橿原店
2025年2月28日に大阪府「バーガーキング イオン貝塚店」、3月1日に奈良県「バーガーキング イオンモール橿原店」が連続オープン。両店ともモール1階に配置され、買い物導線と駐車場出入口を意識したレイアウトが採用されています。STRAIGHT PRESS(2025年3月5日)は「2店の開業により全国266店舗、関西60店舗超え」と報じました。
- イオン貝塚店:大阪府貝塚市地蔵堂74-2 イオン貝塚 1F/営業時間10:00-21:00(初日は18:00終了)
- イオンモール橿原店:奈良県橿原市新堂町189外 イオンモール橿原 West Village/営業時間10:00-21:00
両店とも世界標準の店舗デザイン「20/20 Prime」を導入し、セルフオーダー端末4台とモバイルオーダー専用カウンターを設置。待ち時間短縮とフードコートの席確保問題を解消する工夫が光ります。
山梨県初上陸! イオンモール甲府昭和店
2025年6月17日、バーガーキングは山梨県初の店舗となる「イオンモール甲府昭和店」をフードコート内にグランドオープンしました。ベストカレンダー(2025年6月4日)は「同店を含む6月の4新店で全国284店舗に到達」と伝えています。
フードコート区画の中央に位置する同店は、視認性と人流を最大化するオープンキッチン形式を採用。県内外から年間800万人が訪れるモールの集客力を背景に“山梨観光のついでに味わえる直火焼きバーガー”として話題を集めています。
“20/20 Prime”――共通デザインがもたらすブランド統一感
イオンモール内新店舗はいずれも「Handcrafted Feeling」「Bold Color Palette」など4要素で構成される“20/20 Prime”デザインを導入。木目とレンガ調の壁面、直火焼きを象徴する炎のグラフィックがアイコンで、初来店客でもブランド世界観を瞬時に体験できるつくりです。店舗外観はレッド・ブラウンを基調に、ワッパーの具材カラー(グリーン、イエロー)をアクセントに使用。これによりモール通路からの視認率を高め、デジタルサイネージやアプリクーポンとの連携も図られています。
また、セルフレジ横にUSB-C対応の充電ポートを設置するなどモール滞在時間の長いファミリー層に配慮した“休憩拠点”としての機能も付加。買い物途中の短時間利用からファミリーディナーまで幅広いニーズに応えています。
イオンモールとの相互メリット
- 顧客導線の補完:イオンモール側は「食の選択肢強化」による滞在時間増を狙い、BKは高回転率メニューでフードコートの回転を維持。
- デジタル集客:両社アプリのクーポン連携により、モールアプリからBKモバイルオーダーへシームレスに遷移。
- 環境施策:リユース食器導入・NOカトラリーアクションなど、イオンモールのSDGs方針とBKの紙ストロー/木製カトラリー施策が合致。
これらシナジーにより、モール全体の客単価向上とBKの新規顧客獲得が同時に実現。特に家族連れに対する「シェアしやすいサイズのワッパーカットサービス」は回遊を促す独自施策として好評です。
600店舗体制へ――今後のロードマップ
BKJHは2025年以降、年間40〜50店ペースの新規出店を計画。このうち半数以上をイオンモール・イオンタウンなどイオングループ施設に集中させることで、物流コストと内装コストを標準化し、投資回収期間(Payback)を平均2.5年に短縮する方針です。関東では栃木・群馬・千葉のイオンモールで新規物件交渉中とされ、九州でも福岡市近郊の増床リニューアルモール内で複数案件が進行中と業界紙は報じています。
さらに、2024年秋に始動した物件紹介インセンティブ「バーガーキングを増やそうシーズン2」キャンペーン(公式サイト)では、候補物件成約で20万円分のクーポンが支払われるなど、出店加速のエコシステムも整備されています。
まとめ――買い物途中に“直火焼き”という選択肢を
イオンモール各地への出店は、バーガーキングにとって単なる店舗増ではなく、「買い物と食事の境目をなくす」ライフスタイル提案です。直火焼き100%ビーフパティの香ばしさと、モールならではの居心地の良さを同時に体験できる場が増えることで、ファストフードの楽しみ方はさらに多様化していくでしょう。お近くのイオンモールを訪れた際は、フードコートの炎のロゴを目印に、ぜひ新店舗の“ワッパー体験”を楽しんでみてください。